2013年10月27日

地下鉄初乗りのみ180円値下げと消費税8%転嫁無しを比べてみた

 橋下市長が最近、来年4月から地下鉄初乗り料金を180円に値下げすると騒いでいます。
 でも、実際の料金表にしてみると、来年4月は消費税8%への引上げがあるので、次のようになります。
180円値下げの概要.jpg

 これなら、初乗りだけの値下げなんてするよりも、そんな余力があるなら、地下鉄料金への消費税引き上げの転嫁を止めて貰いたいところです。
 そこで、消費税転嫁を止めるのって無理なのかな?って、試算してみました。

 元にした資料は、地下鉄事業民営化基本方針のこの資料(元データ P20)から、影響人員=地下鉄の区間別の1日利用客数を使用しました。
 また、消費税引き上げ時の端数処理無しの区間別料金額は、府市統合本部会議資料の地下鉄PT最終報告のこの資料(元データ P41)から、使用しました。

 試算は、次の通りです。
180円値下げと消費税転嫁なしの比較.jpg

 試算の解説をすると、1日の区間別の利用客数は、1番目の表の通りです。
 1区の180円への値下げは、703,000人に影響することが分かります。
 1区180円への値下げの影響は、200円と比較しているのか、端数処理なしの205.71円と比較しているのか分からないので、両方を試算しておきます。
 1区の利用客数に単純に料金額を乗じたものを収入額として試算すると、
200円と180円を比較した時の減収額 約1406万円
205.71円と180円を比較した時の減収額 約1807万円
と分かります。
(この減収額は、1日の減収額なので、一般に発表される年間の減収額とは単純に比較できません。)

 これに対して、8%の消費税転嫁を行わない時の大阪市交通局の負担額を、8%時料金の収入額と現行収入額の差額で見ることにします。
 8%時料金は、端数処理なしの料金額を使用します。端数処理後の料金額の方が大きくなりますが、消費税転嫁を行わない時の負担額に端数切り上げの増収分まで含まなくていいだろうという考え方です。
 一番下の表の差額欄が、8%時料金の収入額と現行収入額の差額で、約1574万円となります。

 1日収入額としての試算ですが、1区のみ180円に値下げした時の減収額が、約1406万円又は約1807万円、消費税8%の転嫁をしなかった場合の減収額が約1574万円、それほど、違わないように思います。

 厳密な比較の計算方法は違うのかもしれませんが、利用客数の区間別割合がこの前提で良いならば、極端に異なる結果にはならないように思います。

 1区のみ180円の値下げの減収額と消費税8%の転嫁をしなかった場合の減収額が大して違わないならば、初乗りのみの値下げなどより、消費税8%に伴う値上げを止めてよと思うのです。とっても、思うのです。
posted by 結 at 04:26| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月26日

大阪都構想パッケージ案のコスト増試算で、おかしいと思うひとつの点

 大阪都構想パッケージ案のコスト試算の問題点は、「大阪都構想パッケージ案のコスト論」にまとめていますが、この記事に一項目追記をしたので、追記部分だけをここに記事にしてみました。
 以下、その追記部分の記事です。

試案1(7区案)で約120〜130億円とされるコスト増が、どの程度の増加率で試算しているのかを見てみましょう。

(民間ビル賃料)(元データ 07-P13)
 執務室面積比較で、現有186,609uに対して、特別区分割後の所要278,760u。一部、過剰になる区もあるので、差引で不足する執務室面積は、123,234u。
 現有面積に対する不足面積割合は、66%。つまり、必要となる執務室面積は、66%増ということです。

 ちなみに、賃料で比較すると(現在は市所有で賃料の発生しない庁舎も多いため)、現在の賃料20億円に対して、特別区分割後の賃料は72億円で、53億円の増加。増加率は、265%で3倍を軽く超えます。(元データ 07-P15)

(議員報酬等)(元データ 07-P8)
 議員報酬(政務活動費を含む)は、現行17億8900万円に対して、特別区分割後は34億8700万円で、16億9800万円の増加。増加率は95%になります。

 その他に、各種行政委員会委員報酬として、1億2000万円が増加するとして計上されています。(現行経費の記載なし。)

(システム運用経費)(元データ 07-P9)
 システム運用経費は、現行76億9000万円に対して、特別区分割後は123億2000万円又は138億2000万円で、46億3000万円又は61億3000万円の増加。増加率は60%又は80%。
(ただし、システム運用経費の試算は基幹システム以外の部分が雑過ぎると思われるので、上ブレリスクがかなりあり。)

 執務室面積が66%増、議員報酬が95%増、システム運用経費が60%増又は80%増という試算です。
 これら3項目で、現行経費114億7900万円が231億2700万円又は246億2700万円に増加すると試算している訳です。これが、約120〜130億円とされるコスト増の中身です。

 特別区の現行予算での総支出額は約1兆3000億円。(元データ 04-P06)
 そのうち、115億円部分の試算をして、約120〜130億円のコスト増と試算した訳です。
 そしてパッケージ案は、1兆3000億円のうち115億円部分以外の試算をせず、1兆3000億円に対して約120〜130億円のコスト増(約1%のコスト増)なのだとします。

 でも、1兆3000億円のうち、115億円部分以外試算していない、このコスト計算って、変じゃないですか?
 115億円部分は試算で60%〜95%のコスト増になっているのに、他の部分を試算していないから1兆3000億円に対して、約1%のコスト増試算って、変じゃないですか?
posted by 結 at 02:56| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月19日

大阪市営地下鉄の値下げは、民営化した方が困難と思う理由

 橋下市長が、地下鉄初乗り運賃の値下げを打ち出しました。
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪市営地下鉄:初乗り値下げ、4月先行の意向 橋下市長
毎日新聞 2013年10月17日 22時39分
http://kiziosaka.seesaa.net/article/377824101.html

 大阪市の橋下徹市長は17日の定例会見で、市営地下鉄の初乗り運賃(200円)の20円値下げについて、市議会が地下鉄の民営化を認めるかどうかに関係なく、来年4月に実施する意向を示した。来週にも最終決定する。一方で、来年10月までに議会が民営化条例案を可決しない場合、値下げした運賃を元に戻すなど、値上げを検討すると強調した。

 当初、民営化条例案への賛成を条件に、値下げに踏み切る考えを市議会各会派に伝えていたが、値下げの先行実施により、民営化に慎重な議会側をけん制する狙いとみられる。

 橋下市長は会見で「地下鉄民営化を公約に市長に当選した」と述べ、民営化論議の行方に関わらず、まず値下げに踏み切る考えを表明した。初乗り運賃以外にも、「2区」(乗車距離3〜7キロ)の一部について20円値下げする可能性も示した。

 その上で、「公営のままだと料金を下げることはできない」と指摘、来年10月までに議会側が民営化に賛同しない場合の値上げに言及した。議会側には「民営化が駄目な理由を示してほしい。納得すれば民営化はやめる」と求めた。

 橋下市長の発言について、公明市議は「先行値下げは、民営化に賛成を迫る荒っぽいやり方だ」。自民市議も「値下げの根拠を示すべきだ。震災対策や安全対策の財源が確保できるか疑問だ」と批判した。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 地下鉄事業民営化方針(2013年2月)(元データ)の中では、消費税引き上げタイミングと合わせて、次のような料金値下げを打ち出しているので、来年4月の初乗りのみ190円への値下げを、180円にということのようです。
料金値下げの内容2段階.jpg

 わたしが疑問に思うのは、「公営のままだと料金を下げることはできない」、(他の記事からですが)「値下げは民営化による経費削減が前提」と主張している部分。
 地下鉄事業民営化方針(2013年2月)やその検討の元となった大阪府市統合本部会議で検討の「地下鉄民営化・成長戦略PTの最終報告」(2012年6月)の内容を見る限り、公営のままより民営化(正しくは、外郭団体化)した方が財務状況は悪化するので、「公営のままだと料金値下げをできるが、民営化するとできない」なら分かるのですが、逆の主張は理解できないのです。

 「公営のままより民営化した方が、財務状況は悪化する」について見てみましょう。

 大阪都構想パッケージ案で物議を醸した「地下鉄の民営化効果275億円」ですが、この数字の元になった地下鉄事業民営化方針では、次のようにされています。(元データ 民営化方針P10)
○補助金削減 年間200億円
○固定資産税など市税納付 年間50億円
○配当 年間25億円

 このうち補助金削減は計算方法がおかしいと指摘され、×年間200億円→○106億円に修正され、地下鉄民営化効果は全体で181億円に修正されています。(元記事

 普通「地下鉄の民営化効果」というと、民営化でコストカットなどが行われ、地下鉄事業の中でお金が生み出されることと思いがちですが、補助金削減や市税納付などの内訳を見ると違うことが分かります。
 この地下鉄民営化効果とは、地下鉄の民営化によって、地下鉄から市税納付などを受けて、大阪市役所の一般会計予算がどれだけ潤うか、ということです。

 地下鉄の側から見れば、この地下鉄民営化効果181億円とは、民営化(=外郭団体化)によって、地下鉄の会計から、大阪市役所の一般会計予算に対して、市税納付などで、資金流出してしまう金額(コストアップ額)なのです。

 あと、税金の支払いはこれだけでは済みません。
 PT最終報告によると「固定資産税、都市計画税、事業所税、事業税」は年間64億円(元データ P20)で、民営化基本方針の収支見通しによると民営化1年目の法人税等(税引前損益−税引後損益)は44億円(元データ P37)。租税合計は108億円になります。
 市税納付額が50億円とされていますから、58億円は国税・府税としての納付額と考えられます。
 つまり、民営化に伴う地下鉄会計からの資金流出額は、地下鉄民営化効果181億円+国税・府税58億円の合計239億円にも上ります。

 では、民営化によるコストカットなど、地下鉄の会計が潤う効果額は、どのくらい見込まれているのでしょう?

 PT最終報告によると次の通りです。(元データ P20)
民営化による業務改善額86億円(うち人件費削減額19億円)
民営化以外の業務改善額42億円(うち人件費削減額39億円)
合計 128億円です。
 ただし、業務改善額には、実現性に疑問符が付くものや、駅での福祉的対応を区役所に押し付けて駅無人化の人件費削減を計上してるもの(元データ P26)などがあります。

 この結果、現状に対する民営化(=外郭団体化)後の地下鉄会計は、
業務改善額128億円−資金流出額239億円=▲111億円
です。

 また、民営化以外の業務改善額42億円は公営のままでも行うと考えると、
(42億円改善後の)公営に対する民営化(=外郭団体化)後の地下鉄会計は、 
業務改善額86億円−資金流出額239億円=▲153億円
です。

 この民営化による100億円以上の資金流出が、どの程度の規模か見てみましょう。
 橋下市長が市長就任直後に交通局が示した全区間20円値下げ案での想定減収が130億円(元記事)だそうです。
 また、市バスの維持を考えても、経常赤字24億円と地下鉄事業からの繰入金30億円(2010年度 バスPT最終報告1-P7)とのことなので、十分に賄うことができます。
 民営化による111億円とか153億円とかの資金流出を値下げ原資にすると、かなりの料金値下げなどが可能な金額であることが分かります。

 地下鉄民営化(=外郭団体化)を行うと、民営化による業務改善額を計画通り実現できても、税金の納付などで多額の資金流出が発生し、財務状況は100億円以上悪化します。

 そのため、橋下市長が「公営のままだと料金を下げることはできない」、「値下げは民営化による経費削減が前提」というのは、地下鉄民営化案の内容とは、真逆の説明をしているように思われます。
posted by 結 at 05:14| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする