2014年07月03日

「対案を示せ」を前向きな議論にする方法

 議論を行う時、提案に対する反対論に「対案を示せ」と求めて、反対を封じる論法があります。
 この論法は、何かヘンだなぁと思うのです。
 本来、「対案を示せ」は議論を前向きに進める考え方だったはずなのですが、本当に前向きな議論になるのでしょうか?
 「対案を示せ」を、前向きな議論にしていくためには、どうすればいいでしょうか?
 そういうことを考えてみました。


〇「対案を示せ」が前向きな議論に繋がる仕組み

 「対案を示せ」は、次のような場合、議論を前向きに進ませる効果があります。

「この課題について、本来100の効果を上げるべきなのに、この提案Aでは、aの問題やbの問題があって80の効果しか上がらない。この案では駄目だ」というような「提案Aへの反対」があった場合です。

 (反対者の評価でも)提案Aを実施すれば80の効果が上がるのに、「この案では駄目だ」という意見を採って、提案Aを没にすると0の効果になってしまうのです。
 つまり(反対者の評価でも)「提案Aを採って80の効果を上げる」か、「提案Aを没にして効果0」かの比較になるなら、「提案Aを採って80の効果を上げる」を採った方がいいことになります。

 もし、「提案Aでは80の効果しかないから駄目」という反対の場合、提案Aを没にするだけでは、提案者にも反対者にも望ましくない結果となります。
 ですからこの場合、「『提案Aでは80の効果しかないから駄目』とするならば、80以上の効果を上げる別の提案を提示するか、提案Aの改善案を示すべきだ」(=「対案を示せ」)というのは、議論を前向きに進ませる一定の効果があります。
 (勿論、議論をしている両者の関係で、妥当な場合も、妥当でない場合もあるのは当然です。この理屈で、上司やクライアントに対案を求めたら、普通はどやされます。)


〇「対案を示せ」が前向きな議論に繋がらない仕組み(失敗の構造)

 「対案を示せ」が前向きな議論を促す場合があることを見てみましたが、次のような場合にはどうでしょう?
「この課題について、本来100の効果を上げるべきだが、この提案Bではマイナス50になる。この案では駄目だ」というような「提案Bへの反対」があった場合です。

 反対者の評価では、提案Bを実施すればマイナス50の効果に対して、「この案では駄目だ」という意見を採って、提案Bを没にすると0の効果です。
 つまり(反対者の評価では)「提案Bを採ってマイナス50の効果に陥る」か、「提案Bを没にして効果0」かの比較になるなら、「提案Bを没にして効果0」を採った方がいいことになります。

 もし、「提案Bを駄目というなら、対案を出せ」の論法をここに持ち込むと、「対案を示せ」論は「提案Bを没にして、何もしない」という選択肢を基本的に排除しますから、「提案Bを没にして効果0」の選択肢を排除すると、提案B実施でマイナス50の効果となり、より悪い選択を行うことになってしまいます。
 この場合「対案を示せ」は、議論を悪い選択に導くことになります。

 つまり、「やらない方がマシ」という主張に対して、「対案を示せ」と求めることは、「『止める』の選択肢を排除」「反対者の議論参加を排除」するもので、議論に対してはマイナスとなります。
 議論を進める意味では、実に後向きなのです。


〇「対案を示せ」を前向きな議論に繋がるフローチャート

 思いついたことを整理しただけなので、幅広い場面に一般論として通用するかは分かりませんが、ここまでの話をフローチャートにまとめてみました。

対案を示せフロー.jpg

 フローチャートを見ていただくと分かりますが、「対案を示せ」を前向きな議論に繋げようとすると、(言い方の問題はあるにしろ)、なぜか「対案を示せ」という言葉が出てこない結果となりました。
posted by 結 at 00:27| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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